出っ歯・前歯(上顎前突)とは
本来、下の前歯が正しい位置に生えている場合、上の前歯はそれより2~3㎜前方に位置する状態が理想です。
このバランスが崩れ、上の前歯が下の前歯より大きく前方に突き出ている状態が、出っ歯と定義されることになります。
問題点
見た目の問題、発音のし辛さが生じる他、周囲の歯並びの乱れの誘因となったり、口内の乾燥を招くことからむし歯や歯周病の原因となることもあります。
上顎前突の原因
上顎前突の原因は大きく、「骨格」「歯列」「生活習慣や癖」に分類されます。
骨格が原因の場合
- 上顎が大きく前に出ている
- 下顎が小さい
- 下顎が後方にズレている
歯列が原因の場合
- 上の前歯が前方に傾いている
- 下の前歯が後方に傾いている
生活習慣や癖などの場合
- 舌で歯を押す癖
- 5歳以降の指しゃぶり
- 爪噛み
- 唇を噛む
- 口呼吸
上顎前突の歯科矯正のタイミングはあるの?
上顎前突の矯正治療は、比較的少ない負担で矯正治療を行えます。
大人になってからは、どのタイミングがベスト、という定義はありません。しかしやはり、むし歯や歯周病の原因になったり、見た目だけでなくお口全体に悪影響を及ぼすリスクがありますので、早めに受診されることをお勧めします。
抜歯が必要かどうかは、検査後に分かります。
上顎前突の歯科矯正
小さなお子さまの場合
成長段階であることを利用し、顎の骨の成長を正しく誘導します。また、器具により顎の骨を広げることもできます。
大人の方の場合
主にブラケットを使用して、矯正治療を行います。抜歯が必要な場合もあります。
上顎前突(出っ歯)についてQ&A
歯並びに影響があるのは、5歳(生え変わりが始まる時期)以降の指しゃぶりと言われています。3歳であれば、それほど心配する必要はありません。ただ、歯並びの乱れはさまざまな原因によって起こりますし、出っ歯にだけ気をつけていればいいというものではありません。歯並びが気になったら、一度ご相談ください。
大人の場合、抜歯が必要になることがあります。必要かどうかは、検査を行った上で診断します。
一方で子供の場合、顎の成長が見込めますので、新しく生まれたスペースに上の前歯をうまく収めやすくなります。抜歯なしで治療できる可能性が高いと言えるでしょう。
大人の場合、すべての歯並びの乱れに言えることですが、気づいた時点で早めに治すことをおすすめします。きれいな、清掃性の高い歯並びを早くに手に入れるほど、その後の虫歯や歯周病のリスクが抑えられ、お口の健康寿命の延伸が期待できます。
一方で子供の場合は、顎の成長を見込んで、すぐに治療を開始しないこともあります。ただしもちろんその場合も、定期的に歯科医院に通って経過観察を行う必要があります。
ワイヤー矯正、マウスピース矯正単独で治せる可能性もあります。また、抜歯して新しいスペースを作ることで、スムーズに治療が進むこともあります。
あるいは、ワイヤー矯正やマウスピース矯正に、「歯科矯正用アンカースクリュー」を併用するという方法もあります。
さまざまな選択肢がございますので、まずは一度、ご相談ください。
何らかの方法で歯に力をかけ、改善するという可能性はゼロではありませんが、医療従事者としては絶対におすすめできません。不正な力がかかることで顎の骨の吸収が進み、歯の根がダメージを受け、しかも思い通りに歯が動かないという可能性の方がずっと高いからです。
ただ、歯科医院で矯正治療を行いながら、お口まわりの癖の改善を意識したり、新陳代謝を活発にすることで、矯正の効果を高めることは可能です。当院と一緒に、お悩みを解決しましょう。