ワイヤー矯正とマウスピース矯正は
どっちがいいの?
現在、代表的な矯正方法として挙げられるのが、ブラケットとワイヤーを使った「ワイヤー矯正」と、透明のマウスピースを使った「マウスピース矯正」です。結論から言うと、どちらがいいと言い切ることはできません。
ワイヤー矯正は、装置が目立ってしまうということはありますが、幅広い症例に対応することができる点が大きなメリットです。
マウスピース矯正は、装置が目立たず、食事・歯磨きの際に取り外せるというメリットがあります。ただ、1日20時間以上の装着必須です。適応の広さとうい点でも、ワイヤー矯正と比べるとやや劣ります。
患者様の現在の歯並びの状態、ライフスタイル、ご希望などを考慮して、治療法を提案いたします。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正の
比較表
ワイヤー矯正 | マウスピース矯正 | |
---|---|---|
治療法 | 歯に取り付けたブラケットにワイヤーを通して歯を動かします。 | 少しずつ形の違う透明のマウスピースを定期的に交換することで歯を動かします |
取り外し | ◎できません。 | ◎食事、歯磨きの際には取り外せます。 |
見た目 | ◎装置が金属であるため、目立ちます。 | ◎薄く透明の装置であるため、目立ちません。 |
効果 | ▲固定式のため、一定の効果がほぼ確実に得られます。 | ▲着脱式のため、装着時間が短ければ、十分な効果が得られません。 |
食事 | ▲歯と装置とのあいだに、食べ物が詰まることがあります。 | ▲装置を取り外して、これまで通りに食べられます。 ※装着中は、水以外摂取できません。 |
口腔内ケア | 〇装置が邪魔になり、磨きづらいことがあります。 | 〇装置を取り外して、これまで通りにケアできます。 |
治療中の痛み | 〇程度の差はありますが、ほぼ確実に生じます。 | 〇ワイヤー矯正と比べると、痛みは少ないと言われています。 |
通院頻度 | 1ヵ月に1回程度 | 1~2カ月に1回程度 |
ワイヤー矯正と特徴
ワイヤー矯正には、以下のような特徴があります。
- 実績が豊富
- 幅広い症例に対応できる
- 治療期間を短縮できることも
実績が豊富
さまざまな矯正治療がありますが、ワイヤー矯正はその中でももっとも古い歴史を持ちます。
過去の膨大な実績がありますので、安心して治療を受けていただけます。
幅広い症例に対応できる
大きく歯を動かしたり、細かく動かしたりといった調整力に優れています。
そのため、他の矯正方法と比べると、幅広い症例に対応することができます。
治療期間が短縮できることも
症例によっては、マウスピース矯正より短い期間で治療を終えることが可能です。
ワイヤー矯正の注意点
- 食事、歯磨きをしづらい
- 舌、粘膜を傷つけてしまうことがある
食事、歯磨きをしづらい
ワイヤーとブラケットは、固定されたままの治療です。そのため、食事のときに食べ物が詰まったり、歯磨きのときに装置を邪魔に感じたりすることがあります。
舌、粘膜を傷つけてしまうことがある
金具を使用するため、舌や粘膜を傷つけてしまうおそれがあります。
調整が可能ですので、こういったときには歯科医師にその旨を伝えましょう。
マウスピース矯正の特徴
マウスピース矯正には、以下のような特徴があります。
- 装置が目立ちにくい
- ワイヤー矯正よりも痛みが出にくい
- 口腔内を清潔に保ちやすい
装置が目立ちにくい
薄く透明のマウスピース型の装置を使用するため、ワイヤー矯正よりも装置が目立ちません。
※一部のマウスピース型矯正装置では、歯の表面に突起(アタッチメント)を取り付けるケースがありますが、こちらも白く小さなものです。
ワイヤー矯正よりも痛みが出にくい
装置が薄く歯列にぴったりとはまっているため、舌や粘膜を傷つけるおそれはほぼありません。
また、マウスピース矯正では、微弱な力を持続的にかけることで歯を動かします。そのため、調整ごとに大きな力をかけるワイヤー矯正と比べると、歯を動かすときの痛みも小さくなります。
口腔内を清潔に保ちやすい
食事・歯磨きの際に取り外せること、取り外した装置は流水で洗えることから、口腔内の清潔を保ちやすいと言えます。
お口の清潔を保つことができれば、虫歯や歯周病の発症リスクも抑えられます。
マウスピース矯正の注意点
- より患者様が主体的になった管理が必要
- ワイヤー矯正よりも、適応となる症例の幅が狭い
より患者様が主体的になった管理が必要
1日に20時間以上の装着が必要であり、これを守れないと、想定していたほどうまく歯が動かないということがあります。
また、装着中は水以外の飲食物を口にすることはできません。これは、装置が変形・破損してしまったり、飲み物が装置と歯のあいだに滞留し虫歯・歯周病の原因になったりするおそれがあるためです。
ワイヤー矯正よりも、適応となる症例の幅が狭い
歯並びの乱れの程度が重度であったり、噛み合わせに大きな問題があるケースなどは、マウスピース矯正での対応が難しいことがあります。
歯列の矯正の期間が長引く場合や
短くするためのポイント
歯列矯正治療で歯が動きやすい人っているの?
「自分の矯正治療にはどれくらいの期間がかかるのだろう」ということは、患者様にとって非常に関心のあることかと思います。ただ、歯並びの乱れの状態、顎の骨の状態、またどこまでの治療をご希望されるかといったことによって、お一人おひとり、治療期間は異なります。
一方で「歯が動きやすい人」と「歯が動きにくい人」という違いは確かに存在します。
成長期の子供の場合
矯正治療は大きく成人矯正と小児矯正に分けられますが、小児矯正を受けておくことで成人矯正が不要になったり、必要になったとしても軽いもので済むことが多くなります。
治療が長引く場合
- 虫歯や歯周病になり、矯正治療を中断した場合
- マウスピース型矯正装置、ワイヤー矯正のゴムなどを、正しく使用しなかった場合
- 装置が破損するなどして、修理・交換が必要になった場合
- 正しく通院をしなかった場合
- 治療後、保定装置を正しく使用できなかった場合
- 加齢などにより、顎の骨が硬くなっている場合 など
治療期間を短くするポイント
以下のような取り組みで、治療期間を短くすることが可能です。
舌の癖、口まわりの癖を改善する
舌で歯を触る癖、口呼吸、頬杖、唇を噛む癖などは、歯並びが乱れるリスク要因です。こういったリスク要因を取り除くことで、歯がスムーズに動き、治療期間が短くなることが期待できます。
虫歯・歯周病予防に積極的に取り組む
矯正治療中、虫歯や歯周病になると、矯正治療を一旦中断しなければならないことがあります。ご来院時にはクリーニングを行いますが、プラスアルファとして予防メニューを受けたり、ご自宅での丁寧なセルフケアに取り組むことで、虫歯・歯周病にならないようにしましょう。
新陳代謝を高める
歯が動くときには、歯周組織で新陳代謝が起こっています。規則正しい生活、栄誉バランスのよい食事、良質な睡眠、適度に汗をかく運動などによって身体の新陳代謝を活発にしておくと、歯が動きやすくなることが期待できます。